マリウス・フィルマルター ゴルフのヒント

パッティングの課題

ゴルフのスウィングは観覧車のような円運動です。しかし、観覧車とは異なり、フルスィングはアドレス時の背骨の角度とクラブのライアングルに合わせた角度に傾斜します。これらの事実は誰でも把握できます。多くのプレーヤーが見逃すのはパッティングのストロークも、フルスウィング同様400年以上前にアイザック・ニュートンが紐解いた円運動の法則に根付いた全く同じ運動であるということです。ストレートバック・ストレートスルー? これはパッティングに関する迷信であり、何百万人ものゴルファーに傷心とハイスコアをもたらして来ました。

安定したストロークを最も正確に説明する方法として用いられてきた1600年代初頭にガリレオによって定式化された振り子運動の法則が原因かもしれません。確かに、パターは振り子のようにスウィングします。しかし、柱時計に用いられる振り子のように垂直に揺れるわけではありません。傾いた観覧車のように、パッティングの振り子も斜めに傾斜します。そしてその長さ(或いはアーム)は固定されているので直線に沿った動きではなく自然と弧を描きます。

マリウス・フィルマルター:GOLFマガジン
2009年「年間イノベーター賞」
「革新的且つ愉快な指導に心から感謝
J.B. ミシガン州

これらの事実を念頭に置けば、少なくとも生理学的観点からは、パッティングストロークを行うのは簡単になるはずです。しかしながら、そうはいかないのは周知の事実。実際、パッティングがこのゲームにおいて最も難しい側面だと感じている人々もいます。下記パッティングの要件について考慮してみましょう:

  1.   丸い物体を平な面で叩き、その物体の移動距離と方向を制御 
  2.  ホールまでの距離に応じて、適切なテンポで必要な長さのストロークを適用
  3.  グリーン上の傾斜を正確に読み取り、風向きに合わせて調整し、芝の グレインを考慮し、ボールの転がりに対する重力の影響を計算 

 更に難しいのは、全てのパットが異なり、あらゆる距離や傾斜その他状況に対処するために1種類のクラブしか用意されていないことです。ツアープロでも25フィート以上のパットを沈める可能性が10%にも満たないというデータは不思議ではありません。パッティングはシンプルであると同様に複雑です。

単純な繰り返し練習法は必ずしも役に立ちません。脳を訓練することは確実に役立ちます。ご存知の通り、脳は全ての思考と行動を制御します。これらの思考や行動は脳の記憶に蓄積された感覚情報に基づいています。それが我々の行動の結果を決定し、それに対するフィードバックがそれに続く未来の行動に向けた決断を決定します。 

脳に過剰な量の情報を与えればショートしてしまい、現在及び未来の意思決定の質が損なわれてしまいます。脳は一度に一つの考えしか処理できません。妻のことを考えながらガールフレンドの事を同時に考えることはできません。よって、少なくとも単純かつ明確な戦略がなければ、距離と方向を同時に制御することはほぼ不可能です。だからこそ、パッティングの複雑さを理解し、理にかなった繰り返しやすいステップに落とし込み、一つずつ練習することが重要です。これらの原則についての知識と理解を深めることでパッティングはより簡単になります。
私はこれらの原則について説明できます。あなたに代わって理解して差し上げる事はできませんが、理解いただけるよう噛み砕いて説明することが講師としての私のチャレンジです。そのチャレンジを受けて立つ準備はできています。